世界の旅ブログ

丹東のホテルに双眼鏡

2012.01.14

丹東は一度訪ねていた。鴨緑江に沿ったホテルに泊まり、毎日、対岸に広がる北朝鮮の新義州を眺めていた。しかし丹東から眺めるその町はゴーストタウンのようだった。人の姿がほとんど見えないのだ。遊園地があるのか、粗末な観覧車が見渡せたが、動く気配はまったくなかった。何本も立つ煙突は植民地時代の日本の製紙工場のものだったが、そこからひと筋の煙もあがってはいなかった。列車やトラックを使い、大量の物資が中国から北朝鮮に運ばれていた。

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その基地が丹東なのだが、この街には、北朝鮮を眺めるという観光の要素もあった。僕が泊まった部屋には、双眼鏡まで置かれていたのだ。観光客の大半は中国人だったが、彼らが目で確認したいのは北朝鮮の貧しさのようだった。悲惨さを映像で知らされている人々は、ここから望む対岸の貧困を目にして、自らの恵まれた環境を確認しているかのようだった。なんだか残酷な観光地なのだ。死んだような対岸の新義州だったが、ときおり、思い出したように車や人が通る。その服装を食い入るように眺め、車の老朽ぶりを目で確認しようとする。それは日本人の僕も大差がなかった。北朝鮮を眺めにやってくる人の多くが、鴨緑江に浮かぶボートに乗った。スピードボートと小型観光船の二種類があった。どれも新義州側の川岸まで十メートルぐらいまで近づいて帰ってくる。