欠陥住宅訴訟は次のような特徴がある。すなわち、(1)現場施工者や工事監理者は、契約時に自らにもっとも都合のよいスケジュールを選択できる立場にあり、ゆえに緊急性はまったく見当たらない。それどころか、むしろ彼らには、じっくりと施工計画や監理計画を検討する余裕がある。したがって、「あわててやむなくミスを犯した」「取り返しのつかないミスを犯したが、緊急性ゆえにあと戻りができなかった」などという弁解はまったく通用しないこと。
(2)住宅住設、とりわけ標準的な一般民家を建てる際に要求される施工基準は、建築基準法であれ、公庫仕様基準おいであれ、全国の大工や職人なら誰もが知っている必要最低限の標準である。なにも一部の大学教授や建築の最先端で活躍する専門家しか知り得ないような、高度な知識やノウハウが要求されるわけではない。(3)(阪神淡路大震災のときのように緊急の撤去命令が出た場合は例外として)通常は、当該建物が歴然と現場に存立しており、ゆえに天井裏や床下に潜りさえすれば、誰でも、その建物が最低限の基準の施工をしているかどうかを直ちに判別できる商品である。つまり「動かぬ証拠」がたくさん残っている。こうした現実をみても、欠陥住宅問題は、医療過誤問題とは性質がまったく違う。医療の壁に比べれば、欠陥住宅訴訟に立ちはだかる壁は、ずっとたやすく「越えられる壁」なのである。